麦踏とロウバイの花

子供の頃、木枯らしが吹く時期に“むぎふみ”をさせられた記憶がある。朝から日が富士山の肩に隠れるまでおこなった。その当時何故やるのか、余り理解できなかったが父親に連れられて、学校が休みの日曜日などである。

後で分かったのだが、麦が小さいときに霜で浮き上がらないため、にしっかり地面に押し付けて置かないと霜柱で根が土から出てしまい枯れてしまうからだ。最近の近郊では、麦を作っている農家ないので麦踏の光景は見られなくなった。

寒い時期で思い出すのは、私の実家にロウバイの木があって、暮れから正月に蕾をつけて、寒中から、黄色い花を咲かせ、香りを漂わせる。しかし、何故一年で最も寒い時期に昆虫もいない時期に、花を咲かせるのだろう?

ロウバイは中国原産の落葉樹で真冬に満開の花を咲かせる数少ない木の一つだ。花びらは分厚くロウのような質感があり非常によい芳香を放す。日本には17世紀頃に導入されたと言われている。また、ロウバイの名前は花の色が蜜蝋に似ているからとか、花の質感がろう細味します工のようだからとか諸説があるようだ。

私は実を見たことがない。花が咲き実が出来るのは10月頃に果実ができるということだ。その中のタネを取りだしてすぐ蒔くと、年内には発芽するそうだ。どうも不思議だ。しかし、今はもうロウバイの花を実家に見ることはない。