無縁社会の成れの果て


豊かさを求め続けてきたつけは、格差社会は今なお広がりを感じる。人間本来の「共生の社会」構築を真剣に考える事が急務である。「セフテーネット」の整備が必要だが、なんと言って、地域のふれ合い、家族の絆、助けあう互譲精神の教育の整備を急がねばならないと思う。
JR上尾駅から東に約2.5キロで、周辺に工場や畑が点在している、さいたま市で20日、60代の夫婦と30代息子と思われる男性の遺体が見つかった。アパートの室内や冷蔵庫の中に、食べ物が ほとんどなかったという。一方、さいたま市の調査で、この部屋に入居していた 3人の住民票登録が同市にないことも判明した。
アパートの所有者などによると、アパートは3階建てで9部屋あり、3人の遺体が見つかった1階の部屋は 6畳と4畳半の和室のある2Kで家賃は共益費を含め6万3000円。01年2月に男性が1人で入居した後、 妻、息子が同居するようになったという。
部屋にはあめ玉が数個と1円玉が数枚あったが、冷蔵庫は 空だった。電気やガスは止まり、水道だけが利用できる状態だった。 警察は、遺体の状況などから3人が餓死した疑いがあると調べているという。
住民票の登録がなくとも生活保護や介護サービスを 受けることは可能というが、3人は生活保護は受けておらず、同市も把握していなかった。国民健康保険は住民票が ある自治体で保険料を支払わないと保険証が使えなくなるという。3人は自治会にも加入していなかった。
日本は、衰退してゆく経済の中で急速に「無縁社会」化している。家族の絆がとっくに崩壊し、周囲との関係も断ち切られた孤独な人たちが存在する。今までになかった社会現象が起きている。いわゆる誰にも知られない「孤独死」である。
世界金融市場の地獄が日本経済を直撃して、その不安定さゆえ、多くのコミュニティが崩壊しつつある。「無縁社会」の中で「おひとりさま」になり、リスクを個人で背負い込む社会に変わってしまった。
日本の社会保障制度は、これまで企業や家族をあてにしてきた。コミュニティとして機能していた企業はコスト削減を極限まで追い求めたことで、雇用が崩壊し、福祉が切り捨てられてしまった。さらに地域コミュニティの支えが崩壊するとともに人々の絆は薄れ、中高年の自殺や孤独死が増えたことから、孤立を支える無縁ビジネスが流行している。
一方で、「社会のゆがみ」が若者に押しつけられ、一生懸命まじめに働いても生活が成り立たない。不平等が固定化されているとして、多くの若者は希望が持てない現実がある。仕事に希望を持てないため、ひきこもりやニートが増加する。これは個々人の努力の結果とは言えない現実である。
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