天皇陛下の手術・・・

涓滴(けんてき)岩を穿(うが)つ・・・わずかな水のしずくも、絶えず落ちていれば岩に穴をあける。努力を続ければ、困難なことでもなしとげられるというたとえです。どんな小さな行いでも、毎日行っていれば何時か大きな力になります。

わたしは、何事も、一朝一夕にはいかない、何事も然りであるとつくづく思います。

心臓血管外科医で、5500回の経験があって、心臓を動かしたまま手術をするという、世界的権威がある人です。そして天皇陛下の心臓手術(血管バイパス)の権威である東京ハートセンターの南淵先生が、テレビで解説されていました。

やはり心臓血管手術では有名な先生で、私の兄も手術をしてもらいました。やはり何千件の手術の経験があって、信頼される先生と聞いておりました。

最近天皇陛下が心臓の手術を行いました。手術をした先生は、“神の手”と言われている順天堂大学天野篤教授・・・は、大学入試に3回失敗してようやっと日大医学部に入学したという。今では世界にもその名が知られています。

心臓血管外科医の天野教授は心臓を動かしたまま、血管を縫い合わせるオフポンプ手術のリーダー的存在です。これまで約5500件の心臓手術を手がけています。このうち約4千件は冠動脈バイパス手術で、オフポンプ手術は約3200件という。心臓血管外科医の間でも「物事を徹底的に分析する」「プレッシャーに強い」と評価が高いそうです。

天野篤教授の医師の考え方を「ベストケアー東京」のインタビュー内容から・・・
3浪しなかったらダメになっていたかも知れない。2度目の手術で先輩より上手くなれると確信したそうです。

若い人に望むこと・・・
若手がベテランと張り合えるのは勉強しかないです。とにかく知識を溜める。若い人はただ溜め込んだ知識の出し方を知らないだけなんです。僕の若い頃は新書を読み漁っていたけれど、今の若い人は本を読まないですね。

若い人は知識のバトルをもっとするといいです。例えば1例の手術に対して5人のドクターがそこにいれば、それぞれ手術の方法とか見解を述べ合って、5倍得られるはずです。この人はこう言った、あの人はああ言った、僕はこんな事に気づいた、という風に。これが僕の勉強方法でした。臨床で見たものは逃さないつもりでノートなんか取らないで、その場で頭に焼き付けてました。

大事なキィワードは「好きこそ物の上手なれ」
若い人はいろんな知識を蓄えて現場に活かすべきです。活かせないなら、キャリアアップして活かせるところを目指すことです。今の環境に押し潰されていてはその人の次はないですから・・・。

その為にはある程度リスクを賭けることになりますが、リスクを大きくしないためには人生設計をきちんとすることですね。何歳までにどこまで出来るようになっていたら続けるか辞めるかの判断や、いつ結婚し、いつ人の親となるかなどということもある程度は考えておいた方が良いと思います。

聞いた話ですが、医師と僧職と学校教師は社会人として同年代よりも未熟だそうです。先日、若い先生たちの自己紹介を聞いていたら、社会人なら出来るはずの自己紹介・アピールが全然出来なくて、怒鳴って注意したことがありました。

大事にしているのは、一番は「プライベート」、二番目に「仲間」を大切にするようにしています。そして次に「患者さん」です。

仲間がいなかったら手術できない。患者さんを優先して仲間を大事にしなかったら、チームはバラバラです。仲間のプライベートを尊重することが厳しい仕事環境にあっては大切な思いやりじゃありませんか?こういう考え方が今の医療現場にはあってもいいと僕は思います。自分と仲間のコンディションの両方を整えて、はじめて患者の為になることが出来る訳ですから。

理想の医者にどうやったら・・・やはり一気には行けません。階段の様になっていて、暫く足踏みをして頑張っていると、ある時に突然一段上がるものです。次に二段上がって、一段下がって、また二段上がる。そういう繰り返しだと思います。それを指導医か誰かが近くで見ていてくれて、教えてくれたり、アドバイスしてくれたり、評価してくれるとより良いと思います。