登山家の励ましのエール

5月19日に7日本人73歳の女性登山家ー渡部玉枝さんがエベレスト登頂成功に成功した。10年前の自身が持つ記録を破り、女性の世界最高峰登頂の最年長記録を再び打ち立てた。(ちなみにエベレスト登頂世界最高齢は2008年に登頂した78歳のネパール人だそうだ。)

そして、5月26日にヒマラヤ山脈にある8000メートル級の14の山すべての登頂を目指していた日本人登山家竹内洋岳さん(41)が、26日午後最後の山ネパールのダウラギリの登頂に成功し、日本人で初めてすべての山の登頂を達成した。しかも無酸素登頂である。無酸素で高所に耐えられる体を作ってきた竹内さんのこれまでの経験やノウハウが生かされたのだと思う。

山岳家は目指す山の頂点を極めて、その山の頂に立つと、さらに次に目指すべき山の頂に立つことを思い描く。次々と挑戦すべき山の頂がある、どこまで登っても終わりがないだろう。

努力して頂上に行きつくことができたとしても、「これでいい」とそこで満足せずに、何かの奥義を極めるとは、行き着くところまで突き進んで、もうこれ以上はないというところをさらに極めよ、さらに努力せよということである。新しい世界へさらに飛躍するということだ。

北米マッキンリー山で84年に消息を絶った冒険家、登山家の植村直己さん(当時43歳)見つかった「最後の日記」が(出身地・兵庫県豊岡市植村直己冒険館でパネル展示されている。)「孤独を感じない」「何が何でも登るぞ」とも書いてある。冒険館は「日記は色あせていっても、植村のチャレンジ精神はあれから28年たっても色あせていない」。(毎日新聞

植村家は代々農家で、直己の祖父は損得・金勘定抜きで困っている人を助ける性分だった。直己もこの祖父の血を引いており、登山隊に加わる時にはトップに立ちたいという想いはあっても、自分が主役になるよりは常にメンバーを影でサポートするような立場に立ったという。

山岳家は、この世の中に生きているものとして、努力して頂上をめざすことは、自己自身の修行に他ならない。そして、人々に生きる(やれば出来る・諦めたら駄目だ)勇気と努力することに、励ましのエールを贈っているのだ。