生きることは

人はそれぞれなんらかの悩み苦しみごとを、一つや二つは持っています。老後のこと、健康のこと、経済的なこと、人間関係や、家族のことなどです。

人間関係でも、あの人は嫌な人と思えば、何事もうまくいきません、けれども自分を含めて人は皆、長所と欠点があります。その人の欠点ばかりを拾い出すのでなく、長所を見いだすようにすれば、その人と関係改善が図れることがあります。

これは自分に合わないとか、嫌な仕事だとか思っていたけれども、世の中には役に立たぬものなどありません。工夫・改善によって、気づかなかった面白さや楽しさを発見することがあります。

相対として捉えずに、目線を同じくしたり、 自分のこととして捉えて、 世の中のお役に立ちたいという気持を強く持つこと、すなはちすべて発想の転換をしてみることです。

老いを嘆くより人生経験豊かなことに誇りと自信をもって自己を生かすべきです。病に負けることなく、生かされている命を どんなかたちででも輝かせることです。

夏目漱石の「草枕」の冒頭を思い出します。
「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて画出来る。人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらりらただの ひとである。」

心配ごと悩み苦しみごとがあるのは、今、生きているからです。

心配ごとや、悩み苦しみごとの中に、喜びや楽しみ、また生きる希望の種が、芽が、あるのです。

そう思えばこの世は楽しくもあり、希望に満ちあふれています。この種をうまく育てて、花を咲かせることが、悩み苦しみから逃れる方法かも知れません。