その道を極める


その“道”を極める・・・相撲の大関に推挙されて、昇進伝達式の挨拶の口上で、よく相撲道という言葉が出てきます。生花の華道や、剣道・柔道・弓道などの武道などのスポーツ部門や文化芸能なにも“道”という日本の伝統文化があります。

“道”というと“修行”が連想されますが、仏教では「修行して、欲望などの煩悩を断ち切り、仏になる」と言い、キリスト教では「キリストの贖い(あがない)によって罪と滅びより救われ、神の子とされる」と言われます。、

山へ籠もって厳しい修行を行うことにより、悟りを得ることを目的とする日本古来の山岳信仰が仏教に取り入れられた日本独特の混淆宗教である、修験(者)などがあります。

日本人はどの分野でも、伝統を受け継ぎ、技術や能力の向上をはかることと、人格的向上をめざすことを一体のものとしてとらえ評価するむきがあります。剣道でも弓道でも、身を守る術であることから、生き死にかかわることとして技の鍛錬と精神の向上をめざすことがもとめられてきました。

日本人は人の生き方を道であらわすことが好きなようです。また人生を旅にたとえて、自分の生きざまという道を日々歩みます。そして、行く先を思ったり、足元を見定めたり、過ぎ去りし足跡をふりかえったりします。

柔道、剣道、弓道など武道では心身技ともに習熟し、いっそうの人格の向上をめざすべしとします。相撲も相撲道として心・技・体を整えることをもとめる。茶道、華道、芸能においても同じであろう。それぞれの道を極めるとは修練することであり、仏道修行に通じるものがあります。