落ち葉で思う

落ち葉の季節です。

「西吹けば東にたまる落葉かな」・・・蕪村

春夏秋冬の季節のめぐりだけでなく、大海の潮の流れや大気や地核の動きにいたるまで、大自然のめぐりは途方もなく大きいものです。

今年は例年になく台風の襲来が多くて各地に大きな災害がおこりました。1週間前30号は過去最大級で、直撃を受けたフィリピンでは、中部を中心に甚大な被害が発生いたしました。

2011年の東日本大震災の関連とする地震は未だに起きています。自然の脅威をことさらに強く感じます。

この世の天地間に存在する、数限りないすべてのものは、自然の巡りそのものですが、自然の巡りによって、植物や動物などのさまざまな生命体が存在しています。

それらの生命体はみな生まれて死んでいきます。この世の自然なもの山川草木、森羅万象はたえず変化して一時も同じ姿をとどめていません。すなわち無常です、そのものだけが変わらないというものは何一つないということです。

どんなに生活が豊かになり先進治療でも、長寿社会になっても、人の生まれも死も無常の世ですから例外はありません。

この世の生きとし生けるもの、植物でも動物でも、あるいは目に見えない微生物などの小さな生き物であっても、どんな命でも自然のめぐりで生まれるべくして生まれてきたものばかりです。そして死ぬべくして死んでいくのです。

どんな人でも自然のめぐりによってこの世に必要だから生まれてきたのです、かけがえのない命です。だから他人が人の命を奪うことはできません。自らが命を絶つ自殺も許されるものではありません。

この世に生きてるということは、自分のために生きてるのではなく、他のために生きているのだという、この根本原則があります。この根本原則が理解できないほどに人間は自己中心の生き物です。

最近のニュースで、子供を虐待する親が逮捕されたり、生んでも育てられないからといって公園のベンチに置き去りしてしまう親がいます。

母親は我が身をけずって命を育み、あふれる愛情のもとに産み育てるから我が子はかわいいのです。かわいいはずのわが子を殺める親がいる、どうしてそんなことが起こるのでしょうか?

逆に子が暴力をふるって親を傷つけたり殺したりすることがありますが、命を与えてくれた親への感謝の気持ちが現代人は希薄になったのでしょうか?

親に対する子供の気持ちの中に、親が子を育てるのは当然のこと、子は親の世話を受けるのは当たり前だから、なんで親に感謝しなければいけないのかと、成人してもこのような気持ちでいる若者や、親に対する感謝の思いと親をいたわる気持ちのない現代人は多い。

秋には葉が落ちる、西から風が吹けば舞い散る木の葉は東に飛ばされ吹きだまる、木の葉は散って根もとの大地に帰り土になる。落ち葉は、次の世代のために、短い命を犠牲にして肥料になり、次ぎの年にまた、木が育つことに役立つ・・・摂理なんです。