郷土愛について


近年、郷土を愛する心が失われていると、危機感さえ覚えるのです。都市化現象により、人間同士の連帯感や思いやりの希薄さが感じられるからっです。そして、自然破壊で、豊かで美しい自然が失われ、郷土の伝統や文化が忘れ去られようとしています。

人は、郷土の自然や文化、伝統などに接する機会を拡大したり、人間関係を深めるなどしながら、自分の生の由来や生育の過程を振り返り、それが、自己を支えている心のよりどころ、生きている基礎となっています。

郷土を懐かしみ、親しむとともに、郷土を育て発展させるような郷土を愛する心を育てることが、人間形成の上から重要です。

しかしながら、昔から何代も続いた少数となってしまった住民(殆んど農業)と、大型デベロッパーにより開発されて、移り住んだ人の人口の比率は圧倒的に後者の方が多いのが現状です。

開発の波は、時代と共に怒涛に如く押寄せたのです。そのために、その土地に息づいていた伝統文化まで、追いやってしまったのです。それが、守り続けた郷土文化の喪失、自然破壊とつながって、郷土愛、人間愛の価値観が変わってきてしまったのです。

豊かな、山がなくなり、緩やかな流れの川がなくなり、コンクリート化した街になってしまったのです。その都市化した街でも、むかしからの伝統文化・環境を守らなければいけないのです。

次世代につなぐ、子供達の健全な成長には豊かな自然を少しでも残こそうとすることは、大変大事なことです。

改めて郷土とは何か・・・「人が生まれ育ったところ」(地理的・空間的な場所)郷土の様々な事物、事象、体験は子どもたちの生活と一体であり、郷土という意識を特別にもっているとは考えられなません。

具体的な体験を通じて、漠然とした郷土への愛着の情はもっていても、 感情的な排他性や独善に陥ったりする弊害も伴いやすい。そういった体験を前提とし、その基盤の上に立って、理性に支えられた郷土を愛する心を育てる必要があると思います。

郷土を意識する・・・自分の生まれ育ったところや現に住んでいるところの自然や歴史、人との関わり合いを意識することです。 生地を離れると自分の生まれ育った土地や地域に思い出、 懐かしさなど特別の意味を与えることによって郷土を意識するようになります。

自分がその土地とかかわり、そこに生活の実態があり、その中で様々な忘れがたい経験を経て生ずる心の安らぎ、親しみ、懐かしさなどです。

人間の在り方の根元と深くかかわる・・・郷土を意識するためには、まず郷土と自分とのかかわりを理解し、感得することです。

道徳意識としての郷土愛・・・郷土愛は、 自分と自分を取り巻く共同社会との関係としてとらえることができます。それは 「家族愛」・「近隣愛」・「地域愛」と関連しています。偏狭な郷土愛に陥らないためには、異郷の地や外国の風土、生活や文化を理解し、他の人々が自らの郷土や国に寄せる愛着の情を知ることも必要です。

そして、「愛国心」「国際親善」「人類愛」と関連している「公共心・公徳心」「勤労の精神」「尊敬,感謝」とも関連しています。

自分にとって親しい、懐かしい、大切な郷土に対してより積極的にかかわり、郷土をよりよくすることに貢献し、文化や伝統をさらに発展させようとする能動的な側面を育てることが大切だと思います。