選挙無効の判決

一票の格差問題で、高裁での初めての無効の判決があった。

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

日本国憲法に明記されている。その基本的な事が問われているいうのに、選挙制度の改革が遅々と進まない。国会の怠慢と言わざるを得ない。

違憲・無効なら勝ちで、違憲状態どまりなら負けということではない。問題は違憲・無効かどうかではなく、一票の価値を限りなく1対1に近づけることにあり、最高裁が国会にそれを求めていかなければいけない問題である。

今日の新聞社説

朝日・・・「選挙無効判決―当然の責務を果たせ」

もっともな判決である。国会は、来年の最高裁の判断を待つことなく、当然の責務である格差の是正に腰を上げねばならない。

読売・・・「参院1票の格差 選挙無効判決は乱暴に過ぎる」

国会の裁量権に踏み込んだ独りよがりの判決と言わざるを得ない。

参院では、3年ごとに半数が改選されるため、各選挙区に最低2人を割り振らねばならない。参院特有の事情をどこまで考慮したのか、甚だ疑問だ。

さらに問題なのは「無効」判断である。再選挙のルールも明確でないのに選挙のやり直しを命じるのは、無責任ではないか。

毎日・・・「初の参院選無効 司法が発した強い警告」

判決は、現行制度そのものを改革しない限り、憲法が要請する投票価値の平等の実現はありえないと指摘した。1票の著しい格差を放置することに比べ、無効とすることの弊害が大きいとは言えないとも述べた。国会の怠慢への強い警告だ。

朝日・毎日は国会の怠慢で責任は重大との認識に対し読売は、「国会の取り組みも十分ではない。抜本改革に向けた議論を加速せねばならない。」と指摘しつつも、判決は乱暴すぎると見解である。