問題を先送りの結果だ

オリンパスという会社は創業1919年高千穂製作所の会社で、ギリシャ神話で神々が住むというオリンパス山から名づけたという。ギリシアという国も、事実上崩壊状態になってしまった。今や、オリンパス光学機器メーカーで世界に名を馳せているが、頂上に登って、心の緩みがあったのか・・・92年続いた会社で最大のピンチだ。

バブル真っ盛りの1990年代の企業買収の失敗を隠してきたことに問題はありそうだ。その当時から社長は変わったが、1千億円を超えていた損失を暗黙の了解で先延ばしできたのだ。そして、企業買収などをして、何とか取り繕うとした・・・問題を先送りの結果である。

この問題はアメリカは大きく取り上げている。オリンパス問題はアメリカでも大きく取り上られているようだ。

13日付け西日本新聞社説・・・「オリンパス 今ごろバブルの亡霊とは」
オリンパスについては、証券取引等監視委員会が調査を始め、警視庁が情報収集に動き、東京地検特捜部も関心を持っている、などと報道がなされている。オリンパスの不正会計の実態は、その詳細が明らかになってくるだろう。

現行の企業会計制度の問題点も浮かび上がるだろう。どんなに仕組みを整えても不正は起き得る。絶えず改善を施し、より信頼性の高い制度にするしかない。

ただ、驚いたのは、今ごろになってバブルの亡霊が顔をのぞかせたことだ。同社によると、1990年代の財テク投資の失敗で生じた損失を隠し続けてきたことが、そもそもの原因だという。

損失額は1千億円を超えていたらしいが、その穴埋めのために考え出されたのが企業買収による資金捻出だという。

2006年から08年にかけてオリンパスは主力の医療関連事業強化の名目で、国内3社と英国の1社を買収した。国内3社の買収総額は約734億円だった。英社は約2100億円で、その投資を助言した会社に約660億円を支払った。

しかし、国内3社の当面の売り上げ目標は年間計65億円という。英社買収を助言した会社への報酬も常識外れだった。高い買い物は帳簿上で、実際は資金の多くが損失の穴埋めに回ったという。だが、見る人が見れば「おかしい」と思うようなことをなぜ、やったのか。率直に言って、もうひとつ納得がいかない。

実際、09年3月期決算の監査を担当したあずさ監査法人が「会計処理は不適切で、企業統治上問題がある」と主張したという。さらに、今年4月に就任した英国人の新社長も取引の不透明さを指摘、10月に社長を解任されてしまった。結局、この解任劇でぼろが出た。

本業よりも株式や不動産などに投資した方がもうかると、企業が一斉に財テクに走ったのが1980年代後半だった。振り返れば日本経済の絶頂期だった。

だが、90年代初めにバブル経済が崩壊し、その後、株価も地価も急落、企業は色を失った。赤字決算は出したくないと粉飾まがいの決算手法がとられた。名だたる大企業も例外とは言えなかった。

例えば、親会社の不良資産を子会社などに押し付け、親会社の帳簿をきれいにする。ごまかしが横行した。これでは海外の投資家の不信感を強めて当然だ。海外からの投資を呼び戻すためにも企業会計基準を厳しくすべしとなった。その新たな基準が2000年3月期決算以降、段階的に実施されていった。

会計基準変更は、たまったウミを出し、企業が信頼回復を図る好機だった。しかし、オリンパスはここで逆に損失隠しを図ったという。そして、つけを抱えたまま事業の急拡大路線をとった。連結決算の売上高は00年ごろの約3倍の1兆1千億円台に達したこともあった。

なぜ、そんな判断をしたか。理解し難い。ともかくも日本企業に対する信頼を取り戻すために真相究明が不可欠だ。