呆れた公私混同

金銭感覚がマヒしてしまっている?庶民感覚では考えられない大王製紙の井川前会長の公私混同である。持っている株を売って返せば問題はないだろう?銀座の高級クラブで、カジノの談義をしていて、『賭け事で一獲千金を狙ってはダメだ。人に借りてやるくらいなら、しない方がいい』と言っていたという。

どういう人かと言うと(ウキペディア)愛媛県伊予三島市(現四国中央市)を拠点とする製紙会社、大王製紙創業家2代目、井川高雄の長男として生まれた。2歳年下には、後に大王製紙取締役となる弟、井川高博がいる。

小学校卒業までを大王製紙・四国本社のある愛媛県で育ち、その後は家族と共に東京に引っ越した。小学生時代から東京の学習塾に飛行機で通っていた。

父親の井川高雄は「超ワンマン経営」で知られたが、井川意高は大学在学中から父親の金を使い、銀座の高級クラブで豪遊するなどしていたという。

大企業の経営トップによる、あきれた公私混同である。それを許してきた企業の体質も、異状で会社組織の体をなしていない。驚愕の事件である。前会長は、持ち株を売って返せば問題はないだろうと言っていた。その感覚も庶民には分からぬ言い訳だ。

連結子会社7社から総額106億円の資金を引き出し、ほぼ全額を海外のカジノで使ったという。前会長は弁護士を通じ、「株取引で損失を出した後、たまたま訪れたカジノでもうけて深みにはまった」とのコメントを出した。

事件の温床となったのは、創業者一族である前会長とその父親がグループ全体の経営権と人事権を独占していたことだ。

外部の弁護士らで構成される大王製紙の特別調査委員会は、先月末に公表した報告書の中で、「井川父子に絶対服従という企業風土が原因だ」と指摘している。

連結子会社の役員たちは、前会長からの電話の指示だけで、無担保での貸し付けに応じていた。調査委の言う通り、創業者一族の支配力を薄め、経営の透明性を確保することが急務である。

また、ガバナンス(企業統治)の問題であり、強化する観点からの制度改正論議を加速させる必要があるだろう。