確かな時代認識を!

本腰を入れて考えないと・・・日本の将来は見えて来ない。現在の日本は、外交、内政、経済、環境そして、社会も行き先の見えない、不透明な閉塞状況にある。

将来に影を落としているのは、少子高齢化による人口減少・日本にとって初めての経験であで、江戸時代以来、人口減少に直面したことがない。少なくとも、戦争以外では百年以上は経験していない。

そして、政府の借金の増大化である。高齢者や低所得層などの弱者は、政府による手厚い社会福祉政策を望み、起業家や富裕層への負担増や格差是正を期待している。

政治も選挙ごとに大きく揺れて、決断ができない。900兆円と言われる政府の国債によって賄われる財政赤字が、個人金融資産の約1400兆円を近い将来上回れば、国債の購入は中国などの海外に依存することにならざるを得ない。

野田佳彦首相の主張する消費税率の引き上げをめぐって、衆院解散・総選挙の機運が高まりつつあるようだ。そして、国民の政治離れのため息ばかりである。この6年、毎年、首相が退陣した日本の政治は、内外からも信頼さは薄れてしまった。

民主党では昨年、菅首相に「辞めろ」の大合唱が起こり、不信任案へ同調する動きさえあった。次の野田首相増税を訴えて党代表選に勝ったのに、年末の党内議論で反対論が蒸し返され、離党者まで出た。

自民党には、もはや政権党の面影もない。財政赤字を積み上げてきた責任など知らん顔でいる場合ではないと思うのだが・・・

こんなことだから、ますます国民からの信頼される政治が作れない。「支持政党なし」が圧倒的な最大勢力を占める現状は、果たして「2大政党」などと言えるものなのか。

ことし9月、民主党野田佳彦代表(首相)も、自民党谷垣禎一総裁も党トップの任期が切れる。政治を立て直すきっかけにするためにも、指導者のあり方を考える好機である。

朝日新聞社説・・・「確かな時代認識を」・・・「戦後の政治が決めたのは、反共と経済重視、日米安保の方向性だけ。あとは官僚が実行計画を書いてくれた」

こんな自民党ベテラン議員の言葉が物語る「自動操縦」のような時代は、「膨らむ富の再分配」が政治の役割だった。だが、いまや世界に例のない超高齢化がすすむ。働く人の数が減る。グローバル化の荒波のなか、新たな経済成長のタネが見つからない。貧富や世代間の格差が広がり続ける。

政治は「負担の配分」という厳しい仕事を迫られている。なのに国会議員たちは相も変わらず「自動操縦」の時代が続いているかのように官僚に寄りかかり、借金を重ねて、その場をしのぐ政治に精を出す。これでは後世にツケを回すだけだ。

政党を率いる指導者は、まず確かな時代認識を持つことだ。それに従って、時代にふさわしい統治の仕組みに制度を根幹から変えていく覚悟が要る。社会をつくり直すためには、たとえば官僚主導から真の政治主導へ、中央集権から地方分権へといった大胆な転換が不可欠なはずだ。

有権者はすでに時代とともに変わっている。都市部だけでなく、農村部でも業界団体などの集票力が激減しているのは、その証しだ。要望の多様化とともに、有権者は砂粒のようにばらばらになり、風が吹けば砂丘のように位置を変える。