国会の醜態

野田政権になって、これで4人目である。藤井元財務大臣が言うように、喉に刺さった棘は抜いたほうはいい。野田首相の国交・防衛の二人の閣僚を更迭しないことにしたという処置で、最大野党の自民党は審議拒否している。

しかし、自民党のポリシーは、なんなんだろう。どんな政党を目指しているのだろう。一向に見えてこない。「必要な政策」「必要でない政策」を区分けし、国民にわかりやすく伝える。これが政党としての政策提言の基本だ。

原発」をどうするのか?TPPに対しては?沖縄普天間移設問題に対しては?消費税増税については?税率を10%に上げることと法人税率を下げることだけは、はっきりしているようだが、低所得者対策はどうするのかなどについては、国民にわかるように説明されていない。

「国民政党に脱皮」しなければならないはずの自民党だが、「古い自民党」の殻から中々、脱皮できないようだ。思い切った改革が必要なのは、自民党なのかもしれない。

2大政党制においては、野党第一党にしっかりしてもらわないと国民は困るのである。「民主党がダメなら自民党に投票しよう」と思えるような、受け皿になれる政党であって欲しい。

民主党がこんなにグダグダで国民の信頼を裏切るような政策ばかり進め、国民の信頼を低下させているのに、一向に自民党の支持率は上昇しない。

自民党の審議拒否はおかしい。今日の新聞各紙は、社説で一斉にこと問題を取り上げている。

朝日・・・それにしても、である。 国会で全面的な審議拒否に入った自民党の態度も、どう見てもおかしい。 いまや国会で見慣れた光景になった問責決議と審議拒否の連続技だが、こんどの自民党は異例ずくめだ。

まず、決議の可決を待たずに審議を拒み始めた。しかも2閣僚が出席しない委員会にも応じない。そこで採決された中小企業の振興のための法律や、火災予防のための消防法の改正案は、2閣僚の問題とは何の関係もない。

次に、タイミングだ。民主党政権で5、6人目の問責決議の可決だが、これまでは国会の最終盤ばかりだった。長期の国会空転を避けるという暗黙の了解があったからだ。今回は、まだ会期末まで2カ月ある。

読売・・・衆院不信任決議と違って、参院の問責決議には法的拘束力がない。それなのに、野党は錦の御旗のようにして閣僚交代を迫る。衆参ねじれ国会を背景にした、こんな悪弊は断ち切るべきである。

とくに問題なのは自民党だ。前田、田中両氏が辞任するまで全面的に審議を拒否するという。自民党は、野田首相が消費税率引き上げ関連法案で自民党に協力を求めている以上、両氏の更迭に応じると踏んでいるのだろう。

だが、自民党は政権の座にあった時には、「審議拒否は国会議員の職場放棄」と野党を批判していた。その言葉を忘れたのか。国会終盤ならまだしも、重要法案の山積する会期半ばである。古賀誠元幹事長ら党内からも審議拒否を疑問視する声が出ている。

毎日・・・不毛な我慢比べをしている場合ではあるまい。前田武志国土交通相田中直紀防衛相に対する問責決議が参院本会議で可決された。野田佳彦首相は両閣僚の更迭を拒否、辞任を求める自民党は国会での全面審議拒否戦術で対抗する構えだ。

消費増税関連法案の審議を控える中、両閣僚を続投させようとする首相の対応は理解に苦しむ。国民の政治不信をよそに審議ボイコットに突き進む自民党の感覚も疑われる。政治を動かす責任を双方が自覚し、一日も早く混乱を収拾すべきだ。