気になるギリシャの動向


このところの株価の低迷で分かるように、ギリシャの動向がニューヨーク市況のみならず、世界経済に及ぼす影響は大きい。

緊縮政策にに強い反発・・・ギリシャとフランスの国民の意思である。フランス大統領選とギリシャ総選挙で、いずれも財政緊縮策を進めてきた与党が敗れ、再び欧州債務危機に対する不安が広がっている。特にギリシャでは第1党から第3党まで順番に行った連立協議が不調に終わり、6月に再選となった。

増税と歳出カットによる財政再建に対し国民の不満・批判が強いことで、国民の意見が強かったという結果だ。

さーて、財政再建と経済成長を両立させる政策をとって危機を乗り切ることができるだろうか。現時点での政治情勢を見る限り、残念ながらその「可能性は少ないと言わざるを得ないだろう。」見方をするエコのミストも多いようだ。

一方「ギリシャのユーロ圏残留の目はわずかながらまだある」との見方もあるが・・・
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_443449

朝日新聞社説・・・「ギリシャ危機―仏独が主導し新戦略を」

混迷から抜け出すためには財政緊縮一辺倒の政策だけでは不十分だ。欧州連合(EU)はギリシャの人々が納得し、実行できる新しい提案を加え、6月の総選挙に向けたメッセージを発信する必要がある。

ギリシャは先の総選挙後、どの政党も組閣できなかった。再選挙をしても、安定につながる見込みは少ない。フランスのオランド新大統領は就任式の後、ドイツのメルケル首相と会談した。両首脳はギリシャのユーロ圏残留を望み、成長を促す措置を取ることで合意した。

不安が南欧諸国に広まれば債務危機の再燃は避けられない。ギリシャが旧通貨のドラクマに戻ってもユーロ時代の借金は残るし、国内は制御できないインフレに見舞われるだろう。半世紀にわたって進めた欧州統合の根幹が揺るぎかねない。

仏独両国は首脳会談での合意にそって、EUの新戦略を作り始めるべきだ。ギリシャ国民が結束できる道筋を示さなければ、結局は破局への道に進ませることになる。

ギリシャ有権者には、財政緊縮策への拒否感が強いことが先の総選挙ではっきりした。一方で、欧州諸国には、財政緊縮策を捨てるならば金融支援をやめるほかないとの声が強い。

ところがギリシャの多くの人は、ユーロ圏に居続けたいとも思っているという。厳しい状況のなかで、再選挙はEUやユーロに残るかどうかを問う、切ないものになるだろう。

対立を乗り越えるには、財政規律とともに、雇用を増やし、経済を活性化させる政策を作り出していくしかない。

ギリシャ震源とする経済危機が始まって2年余り。この間の財政緊縮の継続によって産業活動は縮小し、若者の失業率は5割を超える。これまでの政策の限界が見えつつある。

緊縮を主導してきたのは仏独両国だ。オランド大統領は自らの選挙で、EUの緊縮路線を変え、雇用増をもたらす成長戦略の必要を訴えて当選した。

財政の健全化を重くみてきたメルケル首相も、産業インフラ整備などを通じた景気刺激の必要を認め、今後、フランスの提案について協議する考えをオランド大統領に示した。

EU内にも見直し論議が浮かんでいる。政策金融機関である欧州投資銀行の増資や、EU構造基金南欧諸国での活用といったアイデアだ。

歴代の仏独首脳は欧州統合のエンジン役を果たしてきた。仏独はEUの新戦略を主導する歴史的責任がある。