GDPの高成長は持続できるか

GDPの高成長は持続するか、それとも一時的な特殊要因か?

東日本大震災復興需要で公共投資個人消費エコカー補助金の復活」で・・・GDP年率4・1%増…1〜3月期、3期連続増 内閣府が17日発表した2012年1〜3月期の国内総生産(GDP)の速報値で、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は11年10〜12月期に比べて1・0%増(年率換算で4・1%増)だった。

ともあれ、少しは明るい見通しが見えてきたといえる。しかし、復興への息切れ、消費増税ギリシャを初めとする欧州の経済の不安定など、マイナス要因をいかに乗り切れるかにである。今後の政府の施策と政治の安定にかかっている。

読売新聞社説・・・「GDP高成長 景気の本格回復につなげたい」
堅調な個人消費東日本大震災の復興事業をテコに、ようやく景気が回復してきた。追い風を生かし、日本経済を確かな成長軌道に乗せることが重要だ。

今年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比1・0%増と、3四半期連続のプラス成長になった。年率換算で4・1%という高い成長率である。

GDPの6割を占める個人消費は、4四半期連続でプラスとなった。昨年末にエコカー補助金が復活し、新車販売が急増した影響が大きい。遊園地など娯楽関連の消費も順調だった。

震災から1年たち、自粛ムードで冷えた消費者心理が好転してきたようだ。公共投資も、3四半期ぶりに増加に転じた。内需主導の成長と言えるだろう。

総額20兆円近い復興予算の執行は、これから本番を迎える。政府は4〜6月期も復興需要を支えにプラス成長が続くと見ている。ただし、財政支出による景気の押し上げ効果には限りがある。夏以降の息切れが心配だ。

エコカー補助金の制度は来年1月末までだが、約3000億円の予算は夏ごろにも底をつく可能性がある。支給が早めに打ち切りになれば、自動車販売の反動減は避けられまい。

復興事業も、被災地の復興計画作りが順調に進まないと停滞を余儀なくされる。夏の電力不足が、生産にブレーキをかけ、産業空洞化を一段と加速させる恐れもある。

政府は、復興支援や安全を確認した原子力発電所の再稼働など、政策を着実に進めるべきだ。ギリシャの混迷で欧州危機再燃への懸念が広がり、円高圧力が強まっている。持ち直してきた輸出の足を引っ張りかねない。

政府・日銀は過度な円高の阻止へ、為替介入や追加金融緩和も辞さない決意が必要だ。復興事業などの効果があるうちに、民需主導の成長戦略を加速させることが求められる。

菅前政権が2年前に策定した新成長戦略は、約400の施策が盛り込まれた。その実施状況を政府が点検したところ、成果が見られたのは1割弱にとどまった。全くの看板倒れである。

野田内閣は閣僚や経済界の代表による国家戦略会議で、「日本再生戦略」を検討している。総花的にならないよう政策を厳選し、効果的な内容に仕上げてもらいたい。