首相・市民とのめんかいは・・・

野田佳彦首相は8月22日、反原発市民団体「首都圏反原発連合」の代表者と11人と首相官邸で面会して意見を聞いた。しかし、原発再稼動決定を覆す考えがないことを力説しただけで、双方か見合わず、平行線で終った。

朝日新聞社説・・・「首相との対話―開かれた政治の一歩に」・・・肯定的

経済団体や労働組合に属さぬ「組織されない市民」が首相に直接訴えるのは異例だ。これまでの政治の意思決定の仕方や、政治文化を変える可能性をはらんでいる。評価したい。

両者の溝は埋まらなかったが、それでも意義は小さくない。これを、開かれた政治への一歩とすべきである。

読売新聞社説では・・・「首相と反原発派 禍根残す面会パフォーマンス」・・・否定的

民主党政権の場当たり的な大衆迎合主義(ポピュリズム)を象徴する出来事と言えよう。

国民の生活を守るという大局的見地から再稼働させた首相と、ハナから原発不要論を唱える反原発団体が折り合えるはずもない。

首相が短時間とはいえ、反原発団体と面会したことは禍根を残したのではないか。反原発デモに一定の理解を示したと誤解されかねない。首相はこうした対応を今回限りとすべきだ。

むろん国民の多様な意見を聞くことは重要だが、首相はこれまでも国会論戦や記者会見などを通じてさまざまな意見に接し、国民の疑問に丁寧に答えている。

民主党の首相経験者2人が、面会の実現を首相に求めたことは理解に苦しむ。

鳩山元首相は首相官邸前のデモに加わり、「原発再稼働はやめるべきだと思う」などと演説した。菅前首相は反原発デモを「新しい政治参加のうねりだ」などと持ち上げ、面会にも同席した・・・何とも理解に苦しむ言動だ。

私としては、エネルギー問題は日本将来にとって大事なテーマである。現段階では、原発を利用しないと経済が立ち行かないという現実であることは間違いない。

首相の判断で原発を再稼働させたことで、電力危機が回避されたのである。引き続き現実的なエネルギー政策を推進すべきだ。