ストレス社会に生きる


現代人は、何らかの精神的な不安や悩みをもっています。

むかしは、人生50年の時代は、子供を生み、育てるのことが、人生の第一意義でした。子供が成長させ、結婚、孫を抱く頃には、親は寿命がつきて死んでいったのです。

ところが、人生九十年の長寿の時代へ入ったとも言われるようになった今では、子育ての終わりが人生の終わりはなく、子育てを終えても、まだ四十年もいき続けるようになりました。

少子高齢化時代といわれる現代社会では、人々の人生観はさまざまです。男も女も子どもを生み育てることを人生の第一義としなくなり、それぞれの自己満足を充足することを、生きがいとするようになりました。

価値観の多様化、お互いに自己流の価値観をもって生きようとするから、親子や夫婦の間でも、社会での人間関係のおいても、それぞれがが異なる自己満足の充足をめぐって、さまざまな葛藤を生じています。

寒冷・外傷・精神的ショックなどによって起こる精神的緊張や生体内の非特異的な防衛反応のことをストレスといいますが、家庭生活、職場、地域社会でもストレスを感じながら生きていかなければならないのです。

ストレス社会に生きる現代人は悩みや、苦しみの原因を他に求めたがります。親や家族、会社や同僚、上司など、他が変わらないかぎり自分の悩みが解消されない、などと思いこんだり、他のせいにしてしまうから、悩みは複雑なのです。

また、ことさらに自分を卑下したり、ひきこもってしまう人も多いようです。いじめや、メールなどによる誹謗や中傷、非行、薬物乱用、犯罪などの青少年の問題行動も、ストレスがもとで起こす行動と考えられます。

人々は何らかの精神的な不安や悩みを抱えて、日々落ち着かない生活をしています。ストレスが解消されないと、精神的な不安や悩みはさらに深刻なものになり、体調までくずしてしまうと家庭崩壊や人生の破滅につながります。

穏やかな日々の暮らしには生きていけるだけの衣食住が必要です。ところが、グローバル化した経済社会や、国際化された人間社会においては、生活不安を感じざるをえません。

健康で長寿であることを願うけれど、長生きすればそれだけ老化の苦しみがともないますが、年金、介護、死に方など先行きが心配です。