花便りの季節

花便りの季節となりました。「あちらの公園の桜が咲いたよ」、「こちらの川の堤の桜が見事だよ、お堀の桜も美しいよ!」あちらこちらと花をもとめて歩きまわり、幸せを求めて心はいつも揺れ動きます。

今年は、桜の開花が、例年より1週間〜10日も早いという。そういえば、3月に2度も夏日があったことも、観測史上初めてだそうです。東京上野の桜は、今週の末が見ごろかもしれません。

花を見て感動します。青空に大きく咲きほこる白木蓮は迫力があり、緑の山中に咲く、真っ白なコブシは存在感があります。コンクリートの割れ目に咲いた、タンポポや建物のわずかな隙間に群れて咲く小さなスミレはけなげに美しいものです。

親鸞聖人の「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」・・・明日もまだ桜は咲いていると思っているが、夜更けに嵐がきて桜の花を散らすことがないといえようか、そんなことはない。・・・人の命は花の如くです。

桜は絢爛として咲きほこるが、ほんの数日で散ってしまいます。暖風に枝を払われ、はらはらと散ってしまい、葉桜に変わります。

ふくらむ蕾に春の到来を喜び、爛漫に咲きほこる姿に心はずませ、散りゆく姿に哀愁の心をいだく、日本人は桜に我が人生の一コマを重ね見るから、特別な思いを桜によせるのでしょう。

花を見て人は、美しいと心に感じるけれども、自分勝手な思いで見ていないでしょうか、花は子孫を残すために花咲き虫を招く、人に見つめられたくて咲いているわけではない、花は人間に何の期待もしていない・・・