漫画「はだしのゲン」のこと


戦争・・・体験しなければ本当の怖さは分からない。

終戦当時8歳の私でありましたが、艦砲射撃・敵機襲来・空襲警報・防空頭巾・灯火管制・召集令状・出征兵士・原子爆弾・機銃照射・焼夷弾配給制度・大本営発表などの(四文字熟語多い)を覚えています。

竹槍訓練・消火訓練・バケツリレー・東京空襲・・・集団自決・戦争孤児・栄養失調・浮浪児・傷痍軍人などなど・・・

戦争とは・・・子どもの頃は「国と国」の戦いであり「人と人の殺し合い」というイメージがありました。そして、どんな理由であろうと、「戦争は絶対起してはならない」と思う一人です。

最近の子どもは、戦争の怖さを体験できません。戦争とは・・・色々な情報(本やビデオ・映画と実際に現在中東などの紛争でニュースで知るぐらいで、想像でしか分からないでしょう。

いま問題となっている、中沢啓治さんによる、自身の原爆の被爆体験を元にした漫画「はだしのゲン」が戦中戦後の激動の時代を必死に生き抜こうとする主人公中岡ゲンの姿が描かれています。

中沢さんの主観で書かれていますが、その「むごたしさ」リアルすぎるということで、松江市教育委員会は12年12月、作品中の暴力描写が「子どもの発達上悪影響を及ぼす」との理由で、市内の小中学校に閲覧制限と貸し出しをやめるよう要請しました。今月になって要請が明らかになり議論を呼んでいます。

昨日の朝日・毎日の社説でとりあげています。

朝日・・・「はだしのゲン 閲覧制限はすぐ撤回を」

広島での被爆を主題にした漫画「はだしのゲン」を、松江市教委が小・中学校の図書館で自由に読めなくするよう指示していたことがわかり、全国から批判が相次いでいる。

それでも、「ゲン」が高い評価を得たのは、自身が目の当たりにした戦争の残酷さを力いっぱい描くことで、「二度と戦争を起こしてはならない」と伝えようとした中沢さんの思いに子どもたちが共感したからだ。

毎日・・・「はだしのゲン 戦争知る貴重な作品だ」

原爆や戦争を教育現場で学び、その悲惨さを知る機会を子供たちから奪うことになるのではないか。

作品に残酷な描写があるのは、戦争や原爆そのものが残酷であり、それを表現しているからだ。行き過ぎた規制は表現の自由を侵す恐れがあるだけでなく、子供たちが考える機会を奪うことにもなる。今回のような規制が前例となってはならない。

中沢さんは生前、「戦争や原爆というテーマは奥が深い。ゲンを入り口にいろいろと読んで成長してくれれば作者冥利に尽きる」と話している。被爆者が高齢化する一方、戦争を知らない世代が増え、戦争や原爆被害の体験を語り継ぐことがますます重要な時代を迎えている。こうした継承を封じてはならない。