梅一輪

里山に 寒苦に耐えて 梅一輪

梅の花の素晴らしさは、冷たい雪の苦しさを耐えたという修行の賜物にほかなりません。

それは厳しさを伴う美しさであるだけに、見る者を思わず厳粛にさせるのです。 今年も、香り高き梅の花が咲く時節になりました。

梅は夏に伸びた若枝「すわえ」に、翌春には蕾をあまりつけません、冬の寒風に吹かれ、そして夏の灼熱を超えて成長して、翌々年の春になって、その枝も太くなり、多くの花を咲かせるようです。

また柿の木も、若枝には甘い実はならないようです、とくに「くぼ柿」は幾星霜を経た枝になる実は、ほんとうに甘いものです。

寒風、灼熱に耐えて咲く梅の花は美しい、あたかも人が艱難辛苦をのりこえて、生きて、はじめて真の喜びを知るが如くであります。

しかも、梅は、己が力だけで咲いているのではない、天地自然のさまざまなご縁のもとに、自然が総掛かりで美しい花を咲かせる。