クルミヤ戦争の再来を憂う

先月に、ロシアのソチでオリンピックが開かれた。その隣国のウクライナで国内紛争が国際的な問題に発展しそうである。

黒海に面した、クルミヤ半島と言えば、1853年〜1856年に中近東およびバルカン半島の支配権をめぐって、イギリス、フランス、サルデーニャオスマン・トルコの4ヵ国連合とロシアとのクルミヤ戦争で、戦場も極東方面に広がった。

もともと半島の住民は、約6割がロシア系だ。ソ連時代の1954年にロシア共和国からウクライナ共和国に帰属替えされた経緯もあり、ロシアとの関係が深い。

ソ連崩壊によるウクライナの独立後、地元ではロシア復帰を望む動きもあったが、ロシアは黒海艦隊の駐留継続を条件に半島をウクライナ領と認めた歴史がある。

ごく最近では、武装部隊が占拠した議会で首相が解任され、親ロシア政党のアクショノフ氏が新首相に就任。同共和国はウクライナ新政権の統治が及ばない事実上の分離独立地域になりつつあった。

アメリカのオバマ大統領は先月28日、クリミア半島での情勢について強い懸念を示し、オバマ米大統領は「軍事介入には代償が伴う」と警告した。だが、ロシア上院はプーチン大統領の提案に応じ、ウクライナへの軍部隊の展開を承認したのである。

また、アメリカ政府高官はNBCテレビの取材に対し、ロシアが軍事介入に踏み切れば、6月にロシア・ソチで開かれる予定のG8(=主要国首脳会議)にオバマ大統領が欠席することも検討していると明らかにした。

一方、政権を追われたウクライナのヤヌコビッチ前大統領は先月28日、ロシア・ロストフナドヌで会見し、自らの立場の正統性を主張した。

ロシアは、ウクライナ南部クリミア自治共和国に対する軍事介入の準備を整える。国連安全保障理事会は1日、ウクライナ情勢について緊急の会合を開く。露側の強硬な姿勢に対し、欧米諸国が反発するのは必至で、混乱が続くウクライナ情勢は重大な局面を迎えた。(読売新聞ニュース)

過去のクルミヤ戦争にならぬよう平和的に解決して欲しいものだ。

朝日新聞社説・・・「ウクライナ緊迫―ロシアは強硬策を慎め」