生きている…感謝する心

いつも当たり前にある“空気”で生きていられることですが、空気があるのが当たり前すぎるため、気に留めることがなく、感謝の念も湧きません。

宇宙の数え切れない星がありますが、空気と水の存在する星は、科学の発達した今でも確認されていません。この地球に生存する生物は空気(酸素)と水・太陽があって生きていけるのです。ここ(地球)に、生きていくために欠かせない、存在であり命の源です。

しかし、人間は、当たり前と思って生きているのです。当たり前の存在だからです。当たり前の存在すぎて、感謝を忘れがちなのです。一日一回は、生きていることに、自然と多くの恵みによって、生きていられることに、感謝することが大切です。

生きていること…感謝する心

私たちは日々活動に追われていると、心にゆとりを失ってしまいます。「忙しい、忙しい」と飛びまわっているわりには、これといった成長感や充実感があまり感じられない…

心がせかせかしたり、体が疲れやすくなったり、ささいなことでひどく気持ちが落ち込んでしまう。人間関係に気を遣い、いつも周りに合わせるものの、あとになって、とてもむなしさを感じてしまう。ふと、「このままでいいのかな……」という気持ちが浮かんできます。

そんな心の叫びが聞こえてくるときは、静かに立ちどまって、自分自身と深く向き合うときなのかもしれません。そんなとき、自分が一番リラックスできる空間を見つけて、自分の存在というものについて、少し掘り下げて考えてみてはいかがでしょうか…心を落ち着けて、内なる声に耳を澄ませてみるのです。すると、さまざまな心の声が聴こえてきます。

例えば、今咲いている花を見て、美しいと…花と素直に思える“心のゆとり”を持つようになるのです。

また、夜空を見上げてみるのもいいでしょう。日が沈んで、あたりが暗くなりはじめると、漆黒の夜空にまばゆいばかりの星たちが輝きます。そうして夜空を眺めていると、無限に広がる宇宙に不思議を感じ、時が経つのも忘れてしまうほどです。

宇宙はそれ自体、一つの大きないのちです。しかし、私たちもまた宇宙の大切ないのちの一部なのです。そう思うと、自分自身が宇宙になり、宇宙が自分になる。そんな心の広がりを実感します。

私たちがこうして生まれてきたのは単なる偶然のようにも思えますが、決してそうではありません。地球に初めて生命が誕生した三十八億年前から、いのちのバトンリレーが行なわれ、人智でははかり知れない宇宙のはたらきのなかで生きている、いや生かされているのです。

こうして空気を吸えるのも、水や食物をいただけるのも、太陽の恵みがあるのも、すべて天地万物のおかげさまです。胎児は母親の胎内で生物が進化してきた三十八億年の歴史をそのままたどるのだといいます。そのこと一つとっても、私たちの周りにはさまざまな不思議にあふれていることが分かります。

こうして、自分の存在について深く見つめていくと、人間として生をうけたことがいかに有り難いことか、人はなんのために生まれてきたのか、人間はどう生きなければならないのかといったことが感じられてきます。